8.更正の請求
前回は、申告をした税額等がまちがっていて、実際よりも少なかったときは、納税者は修正申告ができるというお話をしました。
これとは逆に、申告をした税額等が実際より多かったので、払いすぎた税金を返してほしいという場合や、あるいは申告した還付金額が少なかったので、もっと多く返してほしいというような場合には、納税者は「更正の請求」という手続きを行なうことができます。
国税通則法23条1項では、納税者は、納税申告書に記載した課税標準等または税額等の計算が、
(1) 国税に関する法律の規定に従っていなかったこと
(2) その計算に誤りがあったこと
により、下記の①~③に該当する場合には、税務署長に対し、納付すべき税額の減額の更正(つまり税金の還付)をすべき旨の請求をすることができる、と定めています。
① 納付すべき税額が過大であるとき
② 純損失等の金額が過少であるとき
③ 還付金の額に相当する税額が過少であるとき
たとえば、ある法人で、まちがいに気づく前の年間の売上高が2,000万円、費用が1,500万円、当期純利益が500万円の法人があったと仮定します。この法人は、当期純利益500万円に基づいて約150万円ほどの法人税や地方税の申告・納付を行いました。
<修正前>
売上高 2,000万円
費 用 1,500万円
―――――――――――――
当期純利益 500万円
⇒ 納付した税額等は約150万円
しかしその後、売上の二重計上が発覚し、実際の売上は1,800万円であることがわかったので、決算書を修正しました。すると、当期純利益の額は300万円になり、その結果計算した納付すべき税額等は約90万円でした。
<修正後>
収 入 1,800万円
費 用 1.500万円
―――――――――――――
当期純利益 300万円
⇒ 納付すべき税額等は約90万円
このような場合には、納付しすぎた税金90万円の還付をしてもらうために、更正の請求を行うことができます。
ただし、更正の請求は、更正の請求書を税務署に提出すればそれで終わり(確定)するものではありません。その後、その請求の内容を税務署に認めてもらう必要があります。認められれば、払いすぎた税金を還付してもらうことができますが、認められなければ還付してもらえません。認められなかった場合には、更正をすべき理由がない旨の通知処分が行われます。
更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた場合には、納税者は納得がいかないことが多いと思われます。ご不明な点がある場合には、まずは当事務所にご相談いただければと思います。(終わり)