改正高年齢者雇用安定法 その15

注意すべき点

現在の60歳定年、65歳までの継続雇用制度を、65歳に引き上げたうえで、70歳までの継続雇用制度を導入することを検討しています。この場合に、60歳以降の労働条件を引き下げようと思いますが、どのような点に注意したらよいでしょうか。

労働契約法9条、10条の就業規則の不利益変更法理の適用があるか否かが問題となります。本件では、定年年齢を引き上げるのですから、基本的には不利益変更の問題ではないと考えます。もっとも、現在65歳までの継続雇用制度を導入しているのですから、現在の60歳から65歳までの労働条件を引き下げることはできません。

また、退職金を支給しているのであれば、その支払い時期について注意が必要です。もし60歳以降の加算なしに、これまで60歳で支給していたのと同額を65歳で支給するというのであれば、この点については不利益変更とされる余地があります。希望者には60歳で支給する、65歳まで段階的に分割支給する、などの検討が必要になります。その際には、所得税法との関係で、所得税基本通達30-2(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)を参考にしてください。 (終)

 

ご相談無料(初回) 098-996-4183