副業・兼業ガイドライン 1

副業・兼業ガイドライン その1(労働時間の通算)

 

                             2020.09.03

 厚労省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が令和2年9月に改訂されています。この改定されたガイドラインに関して、留意しておくべき事項について説明いたします。

 1日の所定労働時間8時間の約束で働いている従業員が、他社で2時間の副業をしたいといっています。法定外労働時間はどのように考えたらよいのですか。

 

この点は改定前のガイドラインンと変わっていません。

改定後においても、「労基法第38条第1項では『労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。』と規定されており、『事業場を異にする場合』とは事業主を異にする場合をも含む(労働基準局長通達(昭和23 年5月14 日付け基発第769号))とされている。」

となっていますから、A事業所での労働時間と使用者の異なるB事業所での労働時間は通算されることになります。

したがって、A事業所の所定労働時間が8時間の場合、使用者の異なるB事業所での労働時間も通算されることから、B事業所での労働時間は最初から1日の法定労働時間を超えていますから、B事業所での2時間の労働はすべて時間外労働となり、割増賃金の支給対象となります。

もっともこれはB事業所での稼働が労基法の時間規制が適用される雇用契約によるものであることが前提であり、次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されないとされています。

 

〇 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)

〇 労基法は適用されるが労働時間規制が適用さ れない場合(農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度)

※ 管理監督者に該当するかどうかについての判断は、裁判例では相当に厳格にされていますからご注意ください。