概要
本件のご相談は、賃貸物件でバーを経営していた所、建物の老朽化を理由に賃貸人から2ヶ月以内に立退くよう請求する内容証明が届きどうすれば良いか分からないというものでした。
法律上の理解
立退料とは、賃貸人が賃借人に対して賃貸借契約の期間を更新しない場合等に必要とされる「正当事由」を補完する意味合いを持つ補償金です。
また、判例上、老朽化している建物であったとしても立退料が不要となるわけではありません(東京地判平成26年9月2日等)。
この様な理解を前提としつつ、相談者様が建物の老朽化の観点から立退自体には前向きであったことを踏まえ、以下の内容証明を送りました。
①老朽化している建物であったとしても立退料が不要となるわけではないこと。
②相談者様がバーを経営するにあたって、内装費等を支出しており、引越し費用でも一定額の支出が見込まれること。
事案の結末
文書を送ったところ、相手方も納得し、基本的な方向性については、一定程度の立退料を支払うことで合致いたしました。
その上で、①金額面のすり合わせ、②撤去範囲の確認、③立退き日を4ヶ月先とすること、③立退きまでの賃料の支払免除、④合意書作成、⑤立退料支払いとスムーズに事案を解決することができました。
賃貸人から建物の老朽化等を理由に突然、立退きを請求されるというケースはよくあり、事情が分からないまま、立退きに応じてしまうと、大きな不利益を被ることがあります。
不動産の立退交渉は、法的知識を要する事柄であり、不動産屋ではなく弁護士が行うべき問題です(不動産業者が立退き交渉を代行することは弁護士法に違反します)。
土地建物の立退きにお困りの方は、弁護士法人アクロゴスまでご相談ください。