【税務コラム】申告にまつわる話 1.申告納税方式と賦課課税方式

1.申告納税方式と賦課課税方式

税金を納付するとき、その納付する税金の額(以下「税額」といいます。)は、あなたが計算して決めましたか? それとも、税務署などからお知らせが来ましたか?

税金を納付する際には、その税額がわかっていなければ、もちろん納付することができません。この納付する税額を決める(以下「確定」といいます。)方法には、おもに次のふたつがあります。

(1) 申告納税方式(国税通則法16条1項1号)

納税者が自分で納付する税額(以下「納付すべき税額」といいます。)を計算し、税務署に申告することで、納付すべき税額が確定する方式のことをいいます。毎年3月15日まで(令和2年と3年は4月15日まででした。)に行う所得税の「確定申告」は、まさにこのことです。所得税額を納税者自身が計算し、税務署に「申告」することで、納付すべき税額が「確定」します。
申告する所得税以外にも、法人税や相続税、贈与税などは、この申告納税方式が採用されています。

 

(2) 賦課課税方式(国税通則法16条1項2号)

賦課課税方式の場合、税金を徴収する税務署(長)等が、納付すべき税額を納税者に知らせてくれます。
国に納付する税金だと、あまりよい例がないのですが、納税者が申告すべき税金を申告しなかった場合に課せられる無申告加算税や、税金の額をわざと少なく申告した場合に課せられる過少申告加算税など、ペナルティの要素がある税金については、この賦課課税方式が採用されています。

しかし、「そういえば、所得税は毎年確定申告しているけど、所得税の予定納税は、自分が申告しなくても税務署から通知が来て、納付額を教えてくれる。予定納税で納付する所得税は、賦課課税方式なの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は上記以外にも、申告などの手続きをしなくても、納付すべき税額が確定する「自動確定の国税」と呼ばれる税金があります。予定納税の所得税はそのひとつです。所得税の予定納税の納付額は、前年分の所得税の申告納付額に基づいて計算するので、新たな情報を納税者から提供してもらう必要がありません。そのため、税務署が計算して、納付額を記載した納付書を送ってきてくれます。
予定納税の所得税以外にも、源泉徴収される所得税や、自動車重量税なども、申告がいらない自動確定の国税に分類されます(国税通則法15条3項)。

次回は、上記(1)の申告納税方式の税金に関する申告期限についてみていきます。(次回「2.申告期限」に続く)ご相談無料(初回) 098-996-4183