新型コロナと休業手当 7

新型コロナと休業手当 その7 (休業要請のある場合)

                             2020.09.14

 結局、休業要請に従った場合でも、休業手当の支給義務はあるのでしょうか?

 

前回述べましたとおり、不可抗力の要件の②に該当するのかどうかの問題です。

テレワーク等で仕事をさせることができるのであればそうしなければなりなせんが、飲食店が営業を休止すれば、基本的に従業員を働かせることはできなくなり、店舗での稼働以外にするべきこともなくなるのが一般的であることからすれば、この場合不可抗力の②の要件に当てはめても、使用者として休業を回避するための具体的努力をこれ以上尽くすことはできないのではないかとも思われます。

 

ただ、この場合でも、雇用調整助成金との関係は問題となります。単純な算数の問題でいえば、使用者はこのような場合にいったん休業手当を支給して、その後に雇用調整助成金の給付を受ければよいのであって、制度としての雇用調整助成金がある以上、使用者としては②の要件に関して他に取り得る手段があるということになって、休業手当の支給義務はあるという結論になりそうです。

休業手当を先行して支払わなければならないという点で使用者につらい面もありますが、以上の様に理解していた方が無難ではないかと思います。