新型コロナと休業手当 その4(休業要請のない場合)
2020.09.10
不可抗力であれば休業手当の支払義務を免れるとのことですが、不可抗力とはどういう場合をいうのですか?
厚労省の解釈によれば
不可抗力とは、第一に、その原因が事業の外部により発生した事故であること(性質的要素につき客観的)、第二に、 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてなお避けることのできない事故であること(量的要素につき主観説を加味)の二要件を備えたものでなければならないと解する。 としています。
結局、コロナ禍における賃金や休業手当の支払につき、どのように考えたらよいのですか?
誤解を恐れずに整理すると、次のようになると思います。
コロナ禍を原因として休業を余儀なくされた場合の賃金支払義務については
〇民法上の賃金支払義務
一般的には「使用者の責に帰すべき事由」には該当しないと考えられ、賃金支払義務は発生しないと考えられます。 ただし、雇用調整助成金の制度がある以上、労使がよく話し合い、雇用調整助成金の申請をすることを前提に、賃金の全額支払の是非について検討する必要があります。
〇労基法第26条による休業手当の支給義務
◆緊急事態宣言の発令がなく、自治体からの休業要請もない場合
不可抗力に該当するとするのは困難
休業手当支給義務は発生 ⇒ 雇用調整助成金で対応
◆自治体からの休業要請があった場合については改めて検討したいと思います。