新型コロナと休業手当 3

新型コロナと休業手当 その3(休業要請のない場合)

                             2020.09.08

 民法の賃金支払義務における「責めに帰すべき事由」と労基法の休業手当支給義務における「責めに帰すべき事由」は同じと考えてよいのですか?

 

ここが非常に分かりにくいところですが、多くの裁判例や学者の見解では、異なると考えられています。具体的には、民法第536条第2項の帰責事由は「故意・過失または信義則上それと同視すべき事由」といわれていますが、労基法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」はそれより広く、民法上は帰責事由とされないような「使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む」と解されています。

そして、例えば、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の入手困難等は、民法上は使用者の帰責事由とは言えない、すなわち100%の賃金支払義務を負うものではないが、労基法第26条にいう使用者の帰責事由には該当するとされ、60%の休業手当の支給義務があるとされています。ただし、不可抗力による場合は「使用者の責に帰すべき事由」ということはできないとされています。

そこで不可抗力の意味が問題となります。