新型コロナと休業手当 (休業要請のない場合 その1)
2020.09.04
新型コロナの影響で営業成績が落ちています。一部の従業員を休ませたいのですが、賃金はどうしたらよいでしょうか?
「使用者の責に帰すべき事由に該当しない」休職の場合には、賃金も休業手当も支給する必要はないことになっています。しかし、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するのかどうかの判断は簡単ではありません。少し長くなりますが、場合を分けて検討することにします。
従業員を休職させた場合における賃金等の支給義務の有無に関する規定としては、民法536条の危険負担に関する規定と、労働基準法26条の休業手当の支給の有無に関する規定があります。
まず民法の原則ですが、これによれば、「使用者の責に帰すべき場合の労働者の不就労」の場合には、使用者に100%の賃金支払義務がありますが、「労働者の責めに帰すべき場合の不就労」及び「双方に責めに帰すべき事由がない場合の不就労」の場合には、使用者に賃金支払義務はありません。
他方、労基法26条は、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、使用者は平均賃金の60%の休業手当を支払わなければならない、としています。
そこで二つの問題が生じます。
① 民法536条と労基法26条の関係
② 「使用者(または債権者)の責めに帰すべき事由」の意味につき、民法と労基法は同じか否か
少し面倒な議論になりますが、賃金または休業手当の支払い義務があるか否かという大切なところなので、今後数日間、お付き合いください。