副業・兼業ガイドライン 2

副業・兼業ガイドライン その2(労働時間の通算)

                             2020.09.03

 

 事業主が異なる複数の事業場の労働時間の通算に関して、労働基準法の労働時間に関するすべての条文・条項が適用されるのでしょうか?

 

ガイドラインでは、次のようになっています。

通算して適用される規定

〇法定労働時間に関する労基法32条

〇時間外労働のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件に関する労基法36条6項2号及び3号

通算されない規定

〇36協定により延長できる時間の限度時間、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限に関する労基法36条4項、5項

 

この相違は、前者が、労働者個人の実労働時間に着目し、当該個人を使用する使用者を規制するものであり、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間を通算すべきものとされるのに対し、後者は、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めるものであるからです。

このように、異なる使用者の複数の事業場における労働時間が通算されるといっても、規定の趣旨・目的によって、通算されない規定があることに注意が必要です。

また、通算されるか通算されないかの前記理由付けは、ガイドラインを理解する上での肝であるということをご認識いただければと思います。