【公職選挙法】法定外文書図画の頒布について

公選法における文書図画(とが)頒布規制

選挙運動のために使用する文書図画※は、インターネット等を利用する方法により頒布する場合を除き、公職選挙法第142条に規定された一定のもののほかは、頒布することができません。
したがって、ウェブサイト等に掲載され、又は電子メールにより送信された文書図画であっても、それを紙に印刷して頒布することはできません。
違反した者は、2年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第243条第1項第3号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。

(総務省WEBサイトから引用)

ここで言及されている公職選挙法142条は更に、選挙の種別ごとにはがきの枚数やビラの枚数、規格など、規制の詳細について定めています。なお、現行法において認められている文書図画の種類は以下の6種類です。

  •  選挙運動用通常葉書
  •  選挙運動用ビラ
  •  選挙運動用パンフレット
  •  選挙運動用広告を掲載した新聞紙
  •  選挙公報
  •  インターネット等を利用した選挙運動用文書図画

こうした直接的な広告規制については、数量が明確に示されており、候補者の単純なミスなどを除けば違反になる可能性は比較的低いと思われます。

もっとも、問題は「法定外文書」です。

法定外文書とは?

公職選挙法142条に定める文書図画は、「選挙運動のために使用するもの」を指します。

逆から言えば、「特定の選挙において特定の候補者の当選を図ることを目的とした広告ではない」広告、例えば、候補者個人の政治活動や、候補者の所属政党の政治活動として政策周知等のために行う広報活動は、公職選挙法の規制の対象外となります。

しかしながら、選挙直前における広報活動では、個人または政党の政治活動なのか、特定の選挙のための選挙運動なのかという区別は曖昧であり、個人あるいは政党の政治活動の体裁を取りながらも、実体としては選挙運動のため広告は法定外文書として罰則の対象になります。

判断が難しい事案

1.候補者個人・後援会などの広告

公示前に特定の選挙や選挙区を示して応援を要請する文書については、法定外文書に該当する可能性が高く、これまでの警告事例でもそういった事案が多くあります。

また、特定の選挙や選挙区を示さなくとも、例えば、「○○選挙事務所 出陣式のご案内」と記述された文書を選挙区の有権者に頒布するような行為は違反となる可能性が高いと言えます。

その他、「お力添え」、「力強いご支援」などの表現の他、「何卒宜しくお願いします。」というような、それ自体は支援を求める内容ではなくとも、他の記述から特定の選挙における特定の候補者の当選を推奨していることが分かる場合には、違反となり得ます。

2.政党の広告

判断が難しいものとして、政党が選挙直前に政党代表者などを表示して、新聞広告などにおいて、選挙自体は特定しないで支援を呼び掛けたり、政党の政策広告を出すような場合です。

この様な広告は、一般的にみられるところですので法定外文書として警告等の対象となる可能性は現状では低い様に思いますが、政党が発行主体となっている広告であっても、それが特定の選挙と関連付けられ、候補者の当落に影響するようなものは法定外文書にあたり得るところです。

更に、微妙なケースとしては、政党代表者ですらなく候補者自身の写真・選挙ポスターを掲載しているような場合は、特定の選挙との関連性がより一層強いと言えます。

本来、広告規制が行われている趣旨は、規制がないと選挙活動に多額の費用が必要となり、財力がなければ当選できない選挙になってしまうという点にありますが、政党の資金力によって当落に直接的な影響が生じるような広告を出すことは、公選法に反するリスクが高い行為だと考えます。

ご不明な点はお問い合わせください

ご相談無料(初回) 098-996-4183