【債務整理】破産にかかる費用はどれくらい?(小規模事業者)

破産手続きに要する費用

事業者や会社の破産手続きでかかる費用は、申立人代理人弁護士費用だけではありません。破産管財人が就任するため、その費用を確保したり、会社を整理するために様々な経費が必要になります。

人件費

事業の見込みは立たないけれど、「あともう少しやれば売掛金が入ってくる。」という場合の従業員の給与や、倒産処理自体に必要な帳簿・証票類の整理のための事務職員の給与の支払いなどが必要な局面があります。

破産直前の段階では、どこまで売り上げを立てて、どこで事業停止するか、どこまでの給与を支払うかを考えなければなりません。

水道光熱費・電話料・賃料・リース料

事業の停止が迫っている状況でも水道光熱費や賃料の支払いを長期間滞納して、最低限のインフラを止められてしまったり、明渡しを余儀なくされてしまっては、破産手続き自体にも支障が生じることになります。賃貸物件に関しては、基本的には物の保管場所を確保するとともに早期に申し立てることにより損失を最小限にとどめるべきですが、事案によっては、自宅保管が出来ない場合もあります。

また、事業用の機器のリース料等については、売掛金の回収のために必要なことや、破産手続き開始後も使用を継続せざるを得ないケースもあり、こうした費用の確保も必要です。

物品等の処分費

破産手続きにおいて換価することが不可能なことが明らかな消耗品や備品、破産に全く関係のない書類等は、保管場所をひっ迫させることになるため、事前に整理しておく必要がある場合が多くあります。

なお、物品の処分は、破産手続き違反と紙一重ですので、必ず、弁護士の指導のもと行う必要があります。

申立予納金

破産手続きでは、裁判所から選任された破産管財人が、会社の資産・債務のチェックや清算状況を整理することになりますが、その費用は最低でも23万円、作業量が多いと見込まれる場合や、訴訟等が見込まれる場合には50万円~100万円程度になってきます。

申立代理人費用

破産手続きは、平常時とは異なり、事業の継続が不能であることを前提とした手続きであることから、会社資産を公平に分配する観点から、破産法により特別なルールが定められております。破産法のルールに違反しないよう細心の注意を払いながら、事業整理と物品の取捨選択を行い、なおかつ、破産申し立ての原資確保をする必要があるため、高度な専門知識と一定の作業量を要することから、小規模であっても30万円~50万円程度を要します。

まとめ

以上の様な費用を積算していくと、営業中または営業を停止してから間もない事業者・会社の場合には、非常に小規模な事業者であったとしても、100万円~150万円程度は確保しておく必要があります。しかしながら、この様なまとまったお金は、完全に経営資源が枯渇して事業停止してしまった段階では確保することは極めて困難です。

事業の継続についての判断は、会社の経営資源が枯渇する前の段階で相談することが極めて重要です。これが遅れれば遅れるほど、破産手続上問題となる財産の移転を行ってしまったり、破産手続きはもとより、再建手続きの選択肢も自ら狭めていくこととなりますので、十分ご注意ください。

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