【遺産分割】刑務所の在監者を含めて遺産分割協議を行った事例

受刑者の手紙のやり取りに関する処遇

本件は相続人の一部が県外の刑務所に入所している状況での遺産分割協議を行ったものです。

在監者については、外部から遺産分割についてどのような意見を持っているのかが分からないことや、そもそも、刑務所に入所している場合には手紙の送付に制約がある点で特殊性があります。

手紙のについては、受刑態度に応じて5段階に区分され、受刑者が送ることが出来る手紙の通数は、1月あたり4通から10通までとなっております(手紙の受け取りには制限がありません)。

参考(法務省HP) http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse37.html

手紙は受刑者にとっては、貴重な外部との交流手段となりますので、できる限り1回の手紙のやり取りで、すべての手続きを完結させる必要があります。

印鑑登録証明書の代替

また、遺産分割の対象に預金や不動産が含まれている場合、その解約手続きや登記名義の移転手続きの際に、印鑑登録証明書の添付が必要となります。

しかしながら、受刑者の場合、印鑑登録証明書の発行を受けることが出来ません。そこで、本人の拇印であることを刑務所長等に証明してもらった書類(奥書証明)を添付することとなります(昭和39年2月27日民事甲第423号)。

受刑者の意思確認

本件では、受刑者と被相続人との関係性はかなり希薄でしたが、受刑者が遺産についてどのような考え方をしているのかわからず、いきなり遺産分割協議書を送付して気分を害したりしてしまうことが危惧されました。

そこで、受刑者の刑事弁護を担当した県外の弁護士を通じて面会をしてもらい、その意向を確認した上で遺産分割協議書を送付した結果、依頼者の希望通りの遺産分割を行うことが出来ました。

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