弁護士を依頼するメリットとして大きく分けると2つあると考えています。
まず思いつくのは、「法律の専門的知識や訴訟・調停などの手続きへの経験を有していること」だと思います。他方、もう一つの重要なメリットとして「依頼者の精神的・時間的負担を減らすこと」があります。
訴訟等の局面は敵対状況にあり、相手方に会ってしまえば様々な感情が沸き上がり、口調・言葉遣いも荒くなり、また、恐らく5年後、10年後には、自分でも不思議に思うような些細なことも許せなくなります。まさに坊主憎けりゃ・・・という状態です。
しかも、こうした状態は悪循環に陥りやすく、うまくコントロールしてくれる人材がいないと、当事者以外の親族まで参戦して(むしろ、当事者以外の人物がより一層攻撃的になるというケースもよくあります。)、収拾がつかなくなってしまいます。
この事案は、遺産分けの内容自体はほぼ決まっているのに、形見分けにおけるコミュニケーションのすれ違いが大きくなっていき、相手方から一方的に責め立てられ、高齢の依頼者は当初自分で調停に参加していたものの精神的な負担からうつ状態になるまで追い込まれていました。
この様な状況で代理人に就任したことで、親族が直接自宅に押し掛けてきたりすることもなくなり、モラルハラスメントは依頼者本人に届かなくなり、遺産分割は無事終了いたしました。
依頼をするかどうかを考えるにあたっては、問題に自分一人で対応することによる、作業時間・思考時間・精神的負担も考慮したうえでご判断ください。